過日、金沢からローカル電車で30分ほどの加賀の鶴来と言う町にある酒造りの老舗菊姫を訪問した。鶴来の町は霊峰白山から流れる手取川上流の水に恵まれ酒作りに適した自然豊かな町である。そこの菊姫15代め当主柳さん(写真)から日本酒の講義を受けてきた。内容を以下に紹介します。同社はオープンな社風で、見学と試飲(これがたまらない思い出になる)を受けてくれる。
【 日本酒の主原料と酒作り 】
日本酒は米と米麹(コウジ)と水を原料としてアルコール発酵させたもの。葡萄酒はブドウに糖分があるのでアルコール発酵してくれるが米には糖分がなく、麹の酵素で米の澱粉をブドウ糖に変え酵母の力でアルコール発酵させます。「糖化」と「アルコール発酵」に二つの化学反応を同じタンクで行う世界稀な農芸化学プロセスです。
そもそも麹や酵母はまことに魔術的な働きをするのだが、それを読み取って米から日本酒という加工農産物を生み出した先人の努力、研究心には脱帽である。
【 原料処理の極み、農作技術の追求 】
先ずは米です。以来日本酒に適する米作りが模索されてきた。名前が知られているのが灘の酒ところに近い兵庫県の山田錦がある。菊姫さんはこの山田錦を兵庫県から一貫して調達している。この米を精米と称する米の表面部分を殺ぎ落す処理をする。これにより米の蛋白質や脂肪分を減らし、より澱粉比率高めてすっきり味を生んで行くそうである。殺ぎ落し度合いを歩合と言い酒の種類(グレード)分け指標にします。
米作りは日本農業の中枢である。主食として美味しい米、冷温気候に耐える米など山田錦とは違う技術が開発されてきたであろうが、基盤は日本の農業技術である。
【 まか不思議な発酵過程から仕上げ 】
精米は蒸した後に水と麹菌を加え糖化を進め、更に酵母菌を加えてアルコール発酵に20日間ぐらい掛けます。発酵済みのもろみと言う半製品を、酒粕を残して絞ります。これを更に沈殿ろ過し、加熱殺菌や水を加えてアルコール度を整え仕上げとなります。精米からここまで60日を要するとのことです。
【 日本酒の分類 】
過去、税務署さんの主導で日本酒を一級酒や二級酒などに分けていた時代から、今はその分類が撤廃され概ね以下のごとくとの事である。
1.純米酒と醸造酒
前者は米、麹、水だけで作られ醸造アルコールは加えられていない。後者は醸造アルコールを加え日本酒の味を端麗・辛口・すっきり味を目指しています。
2.更にそれぞれ精米を磨く度合い(精米歩合)で概ね三段階に分類されています。
アルコール系で;歩合50%以下=大吟醸、歩合6%以下=吟醸、歩合70%以下=本醸造 非アルコール系:同様に純米大吟醸、純米吟醸、純米酒米を磨き低歩合の日本酒は蛋白質や脂肪等の雑味が減り、より味がすっきりするようです。
以下は同社製品一覧です。できれば、菊姫さんを見学し、試飲して選んで、ゆったりと食卓で楽しまれるのがベストです。でも以下はどれもグッドです。
|
|
|
|
【 日本酒を米食材として頂こう 】
米が原料だから主食の位置づけになる。だからそれに合うオカズを用意せねばならない。それは陳列されているものから選ぼう。
そもそも日本酒の生産者・酒蔵は千二、三百軒はあるし、生産品種も多様だ。自分に合うものに落ち着くにはトライ&エラーが必要である。簡便には以下にもある紹介ネットを活用するのも一法である。お試しください。
但し、日本酒は食材ですからバランス良く嗜みましょう。