「野菜を食べなくちゃ、わかってるのよ、でも食べられないのだ」という言葉が青汁の広告のなかにも流れている。青汁広告は「野菜の栄養素や繊維部分をおいしく吸収できる」というが、それは言い過ぎかもしれない。野菜とは多種多様で、人間に必要な種々な栄養素をそれぞれ多様に含んでいるから、限られた種類の野菜絞り汁を飲んで、野菜の全てを摂取したとは言いにくい。せっせと何でも野菜を食べる、それもアメリカ人並みにが鉄則であろう。今日は野菜スープに光を当てることにします。
野菜の医学的な効用、その側面
人間はあらゆる植物(野菜や果実)に加え、植物を餌にしている動物の肉をも食べながら植物の持つ栄養素を吸収し成長してきた。その成長・進化を引き継いでいる以上野菜の一部欠乏は深刻な健康障害の原因になるであろうことは容易に理解できる。小松菜やほうれん草を毛嫌いし、鉄分不足となれば、血液を構成するヘモグロビン不足を生む。それは貧血症では済まない事態を生むであろう。 抗がん剤の研究で世界的に知られた故前田浩熊本大名誉教授は、インフレンザウイルスによる発症の原因が活性酸素と関わっていることを見つけられた。ウイルスに対して活性酸素が過剰に放出され、正常な臓器や細胞が傷付けられるというのである。 活性酸素を中和させる酵素を人間は持っているが、野菜不足もあり十分な量が無い。外から補充するのが野菜や果実となるから、野菜や果実は活性酸素消去物質であるといわれる所以である。特に緑の濃い野菜が良いと言われている。
野菜の抗酸化性の発揮は方法
奥野修司先生は「野菜は「生」でたべてはいけない」という自著のなかで、人間の胃は野菜の細胞壁を充分壊せず、野菜の抗酸化能力を充分吸収できない述べられている。細胞膜が壊れて解放されていない生野菜やジュースを沢山飲んでも、抗酸化物質を充分吸収できないことになる。そこで、先生は野菜を加熱して細胞膜を壊したスープにして、野菜を摂ることを推奨されている。
免疫力を向上させるのは野菜の多糖類です。植物繊維、澱粉、セルロース等の仲間で特にキノコ類、海藻類、シイタケ等がその源と言われています。多糖類が腸内で吸収されるには、適度に加熱して野菜の細胞壁が壊され、抗酸化物質が溶け出してきて、腸内で腸内善玉菌の助けも得ながら腸内抗酸化物質の活性状態を維持する必要があると言われているのです。
最近は活性酸素を消去する物質が様々抽出されている。カロテノイド(色物野菜類)、ルテイン(ほうれん草、よもぎ等)、ベーターカロチン(にんじん、かぼちゃ)、リコピン(とまと)等マスコミも取り上げられるようになっています。
野菜を食べられない人
野菜を加熱して煮てスープ状にしたものが、全て美味とは言えないので、食べる方の工夫が必要なようです。多様な野菜をスープ化して美味しい料理に仕上げるのはなかなか高度な技術が必要なようで、我が家が常用している某トマト大手企業のとまと系スープは通信販売のみですが、品種限定でトマト好きには美味しく、定期購買しています。健康志向の需要がじわりと増えているようである。
前田先生や奥野先生の研究内容を受けてか、健康向上を謳って野菜・果実の持つ抗酸化物質をスープの形で抽出し、食材として売り出す動きが出てきているようです。大きな市場に成長するのはまだ時間が掛かりそうですが、メカニズムを理解し効果を実感してみられることをお勧めします。以下はそのメーカーの例です、ご活用ください。
おわりに
野菜を食べにくい方への一提案をお示ししました。十分市場化してるとは言えないスープ野菜ですが、医学的解析事例をも参考にご活用ください。新発見があるかもしれません。しかし、基本は生野菜から献立を組み立て、たっぷり野菜を嗜む事です。それには新鮮な野菜を手に乗せ、サラダや煮炊きへと進んで欲しいです。農家を紹介しました。